ディスカウントファクターの計算(異通貨・信用リスクあり)
異通貨でのディスカウント(信用リスクあり)
例えばヨーロッパの金融機関の円建て債務を計算する場合など、キャッシュフロー通貨Aと取引相手方の貸借(ディスカウント)通貨Bが違う場合、将来のキャッシュフロー発生時までの運用を通貨Bで行うとして計算する必要があります。このケースでは、クロスカレンシースワップが使われます。
取引相手方の信用リスクがαだと仮定し、(市場金利+α)でディスカウントします。
Di = i回目の利払い日
D0 = 計算日
DN = 満期
di = Di-1からDiまでの日数計算
ri = Diを年限とした無リスク金利
bi = Diを年限としたベーシススワップ金利
α = Diまでのリスクスプレッド
Dfi = Diにおけるディスカウントファクター
また、米ドルのディスカウントファクターは下記のようにすでに計算されたものとします。
Df$i = Diにおける米ドルのディスカウントファクター
短期金利でのディスカウント
クロスカレンシースワップ を使って、円LIBORでの運用を[米ドルLIBOR+ベーシススワップ]に置き換えます。
スワップレートでのディスカウント
上記と同様、 クロスカレンシースワップ を使って、円LIBORでの運用を[米ドルLIBOR+ベーシススワップ]に置き換えた上で、 金利スワップ によって将来のキャッシュフローを固定化してから計算します。
注:ベーシススワップの日数計算(短期金利のコンベンション)、スワップレートの日数計算(スワップレートのコンベンション)、リスクスプレッドの日数計算(米ドル短期金利のコンベンション)が違う場合には、それぞれの係数を別々に計算する必要があります。
dsi = Di-1からDiまでの日数計算(スワップレート)
dli = Di-1からDiまでの日数計算(短期金利)
dl$i = Di-1からDiまでの日数計算(米ドル短期金利)
記述上の複雑さを回避するため、上記の計算では参照変動金利の違いによるベーシススワップを考慮していません。例えば円のようにクロスカレンシースワップの支払い頻度(3ヵ月)と変動金利の支払い頻度(6ヶ月)が違う場合、本来は3ヶ月・6カ月のベーシススワップを考慮する必要があります。(ポートフォリオの計算ではこれらも計算されています。)
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